ビバ!イチジク! 美味しさの他にも魅力がいっぱい。
イチジクは旧約聖書の創世記「アダムとイヴ」の物語で登場します。(写真はA.デューラー「アダムとイブ」)
裸であったアダムとイヴの唯一まとったものがイチジクの葉でした。
二人が食べたとされる“禁断の実”はリンゴとされていますが、実は「リンゴだった」という記述がどこにも無いそうです。近くにあったものがイチジクの葉なら、食べたのもイチジクの実だったと考える方が自然では無いでしょうか?
原産地は西アジアや南アラビアで世界中の暖地で栽培されています。日本には江戸時代に入ってきて広まり、栽培も盛んに行われ、30年くらい前までは庭木として、庶民の食べ物として身近にありました。
クワ科の植物で、夏に実のなる『ビオレットドーフィン』、秋に実の成る『ネルゴラルド』『セレストブルー』、夏秋兼用の『桝井ドーフィン』『ホワイトゼノア』などが多く栽培されています。和名の「いちじく」は 『一月にして熟す /一日一果ずつ熟す』の一熟(いちじゅく)が変化したといわれています。だから「いちぢく」ではなく 「いちじく」 が正しいようです。
当店では遊び心で商品名には『いちぢく』を使用しています。
近年健康食品の優等生ということがわかり、「イチジク」が見直されています。
イチジクは食物繊維のペクチンを豊富に含んでいるので、腸の働きを活発にしてくれます。またフィシンというタンパク質分解酵素を多く含み、肉や魚の消化を助けてくれるので、民間療法では胃腸薬的な使い方をしてきました。
またカルシウムを始め、歯や骨の形成に必要な栄養素をバランス良く含んでいるので、子供からお年寄りにも良い食品です。
特に多く含まれているカリウムは、塩分の取り過ぎによるナトリウムを排出し、高血圧や腎臓病の予防にも効果があります。
また、イチジクに含まれるベンズアルデヒドという成分は腫瘍に効果があるとされてきましたが、最近の研究でガン抑制効果もあることが判ったそうです。
イチジクを『無花果』(むかか)と書くこともありますが、本来漢方の材料としてイチジクを丸ごと乾燥させたものを言います。風邪の時の咳や喉の炎症を抑える効能があります。
(成分表は四訂日本食品成分表参照)
加須市の騎西地区は埼玉県有数のイチジクの産地です。元々『イチゴ』が多く作られていましたが、昭和58年から農家の高齢化などの対策の一環として田畑をいちじくの栽培に転用し、特産にすべく騎西町(旧)でも生産を奨励してきました。騎西のイチジクは『桝井ドーフィン』という種が中心で収穫時期は8月中旬から10月下旬までです。
ある農家さんのイチジクの畑は、高さ2m・長さ70mのイチジクの壁が数列並んでいて、イチジク独特の甘い香りに包まれています。イチジクの実(正確には花)は熟して割れると傷みが早いので、未明から摘み取りをし、早朝に出荷します。
美よ志では栽培契約をしている農家から最上級の実を購入して、新鮮な実をそのまま、または加工冷凍保存し、一年を通して美味しいイチジク和洋菓子の材料として使用しています。
(写真は2010年9月1日)